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吉田 忠; 神田 将; 竹内 末広; 堀江 活三; 大内 勲; 月橋 芳廣; 花島 進; 阿部 信市; 石崎 暢洋; 田山 豪一; et al.
第15回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.51 - 53, 2003/03
原研タンデム加速器は1982年実験利用が開始された。当初は高エネルギーの放電に対し加速器内部の機器健全性が保ちきれず、度重なる整備をしてきた。その結果、現在では非常に安定した運転を継続しており、年間5000時間の運転を継続している。一昨年から高電圧端子にはECRイオン源を設置し、タンデム加速器では初めての希ガスイオン加速を果たし、多くの実験研究に利用されてきた。現在の加速器は、約40核種の安定核イオンを発生,加速できるが、平成13年度から不安定核及び負イオンでは発生不可能なあるいは電流値の低さから利用されてこなかったイオン種の加速を可能にするRNB(放射性核種ビーム)加速計画が実施されており、平成15年度には設置完了する見込みである。この計画は原研とKEK(高エネルギー加速器研究機構)との共同研究であり、近い将来不安定核を利用した研究を開始する予定である。本報告はこれらの研究環境整備の報告を交え最近行った加速器開発を報告する。
松田 誠; 竹内 末広; 小林 千明*
KEK Proceedings 99-22, p.17 - 27, 2000/01
タンデム加速器の高電圧端子に永久磁石で構成される小型のECRイオン源を設置し、それから得られる大電流の正多価イオンを直接加速することでビームのエネルギー、強度を増強することに成功した。これまでにH,N,O,Ne,Ar,Kr,Xeイオンの加速に成功しビーム電流はいずれも従来の加速方式に比べ1桁あまり増強することができた。エネルギーについてはXeビームにおいて270MeVを達成している。ECRイオン源の設置場所は高圧絶縁ガス中の放電にさらされる過酷な環境であるのでイオン源、入射系を簡略化し複雑な制御は行わない方針をとった。特にガス流量が重要であるがこれをバルブの開閉操作のみとした。それによって性能はある程度抑えられているが、それでもなお十分な性能を発揮できている。今後はガス流量の調整やMIVOC法による金属イオンの加速を試みる予定である。
松田 誠; 竹内 末広; 小林 千明*
第12回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.113 - 116, 1999/00
1998年2月の定期整備にあわせ小型のECRイオン源が原研東海の20MV折り返し型タンデム加速器の高電圧端子に設置された。イオン源を設置してから放電による電源類の故障や高圧ガスによる真空トラブルが発生した。一方で実験ユーザーへのビームの供給も始まり、長時間の連続運転を行ったことからいくつかの問題点も判明した。また装着できるガスボンベの数を3つに増やし現在H,N,O,Ar,Xe,Xeが加速可能である。H,Oビームについては加速器の限界である3A、0.5pAをそれぞれ出すことができた。Xeビームにおいては15,16,18荷の有数のイオンをそれぞれ73,48,9.4pA加速することに成功した。これは近い質量数であるIビームの負イオン源からの入射と比較すると、エネルギー、ビーム電源ともに上回る結果となり当初の目的が達せられた。
松田 誠; 小林 千明*; 竹内 末広
Proc. of 8th Int. Conf. on Heavy Ion Accelerator Technology, p.65 - 73, 1998/00
タンデム加速器では負のイオンを一度高電圧端子に向けて加速してから炭素薄膜にぶつけて電子をはぎ取り高い電荷数にしてアース電位に向けて再加速することによって高いエネルギーを得る。しかし、イオンが重いと炭素薄膜が短時間で破れること、ビーム強度が小さくなるなどの問題がある。ECRイオン源はこれよりも高い電荷数の重イオンを直接発生できることから、タンデム加速器の高電圧端子内に設置すればエネルギーとビーム強度を増強することができる。超小型のECRイオン源(NANOGAN)が入手できるようになり、これを原研タンデムに設置した。加速テストでは、H,O,N,Ar,Xeのイオンの加速に成功している。ECRイオン源のタンデム加速器への利用例はこれが世界で初めてである。